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最近日本の医学部の同窓会がありました。ドイツで仕事をしているために出席できませんでしたので、代わりに送った手紙です。

ご無沙汰しています。
あいも変わらず婦人科開業医として、皆様と同様にフルタイムで働いています。これも変わらず、マンモグラフィと超音波を中心とした乳癌の診断に明け暮れています。
最近つくづく思うのですが、医師として重要なのは次の3点ではないでしょうか。
まず第一に体力。二番目が医学知識と経験。そして三番目が経営の才能。
 この同窓会に出席されていらっしゃる方々には恵まれた経営の才能と医学知識を持つ人達が多いので、それらは割愛して、話題を体力に絞ります。
 医者は体を張っての仕事です。これは皆様私と同様に感じていらっしゃると思いますが、自身が健康である、少なくとも健康そうに見えることは、患者さんにとっても大事なことです。不健康に見える医師のところへ誰が診察に行くでしょうか。最近ドイツでもアンチエイジングが盛んで、医師向けのセミナーもよくありますが、参加者の中には、と言うよりかなりの割合で、歳よりも老けて見える方々がいらっしゃるのが目に付きます。患者に施行するより、まず第一に自分にしたらと心の中ではつぶやいています。
 それはともかく、医者は多くの場合替えが効きません。特に私のように個人で開業している場合は、病気になったら収入が閉ざされます。それに無理が出来なくなります。ですから体力を一番目に持ってきたわけです。
 これを鍛えるには運動しかありません。もちろん暴飲暴食、それに喫煙は問題外として。ある老年医学の専門家が「老化は足から始まる。」とおっしゃったのを聞きましたが、確かにさっさと歩けなくなったら体の全ての機能が低下します。私は医院へは行き帰り15分ずつ歩いています。そして週末天気が良く、予定のない時はリュックサックを背負って、バイエルンの田舎道を村から村へと一日に30kmから50km歩きます。時速約6kmですから5時間から8時間になります。夏暑い時は早朝5時から始めて10時か11時には終わるようにしています。これを終えてシャワーを浴びてから飲むバイエルンのビールの美味しいこと。ドイツに住む特権です。
 その他には柔軟体操と筋肉トレーニングをほぼ毎日しています。リハビリ専門の先生もいらっしゃると思いますが、上半身の前屈では足をまっすぐに伸ばして手のひらが床につきます。腕立て伏せでは鼻の先端が床につくまで体を沈め、これを50回から60回します。その他に腹筋運動も。ただ器械は使いません。
 ですから体力は若い医者に負けないと自負しています。もっともこれを自慢するつもりはありませんし、見せびらかすつもりもありません。単にまだ何年かはこのまま仕事がしたいのと、引退してもできるだけ長く他人の世話にならずに生活したいと思うだけです。
 ただ徹夜の当直をすると響きます。以前は次の日ぐっすり寝れば疲れは取れたのですが、最近では回復に2,3日かかります。もう若くはないのでしょう。

今回は残念ながら同窓会には出席できませんが、近況をお知らせする次第です。

加藤恵一